ディ DIAMOND MEDIA LAB.

断絶の時代に
メディアの「北極星」を
求めて

メディア産業は今、歴史的な「断絶」の渦中にあります。

長年、産業を支えてきた前提は崩れ、従来の成功体験だけでは未来を描くことが難しくなりました。この危機感を単なる「肌感覚」ではなく、確かな「ファクト」として凝視し、未来への道筋を描くために、「ダイヤモンド・メディアラボ室」を立ち上げました。

私たちが正対すべきは、メディアの命運を左右する3つの構造的な地殻変動です。

第一に、「ビジネスモデルの喪失」です。かつてインターネットが情報の流通構造を変え、広告収益の基盤を揺るがしました。今、生成AIという奔流が、メディアの収益構造と知の生産プロセスを根底から揺さぶり、人間の思考を代替し始めました。これは単なる技術的な進化ではなく、メディア産業の存在理由そのものの変容に他なりません。

第二に、「ガバナンスの構造的疲弊」です。多くのメディア企業がDXやAI活用を掲げていますが、実際には意思決定の遅れや組織の硬直化が改革を阻んでいます。経営が描く戦略と現場の間に距離が生まれ、変革のエネルギーが分散してしまうケースも少なくありません。

第三は、「社会的信頼の毀損」です。SNSとアルゴリズムによって情報流通は加速し、真偽の境界はかつてなく曖昧になりました。その中で、メディアに向けられる視線はかつてないほど厳しさを増しています。しかし、これを外部環境のせいにしてはなりません。信頼の低下はガバナンスの不在が生んだ必然といえます。

メディアラボ室の役割は、定量的な分析・検証によってこれらの地殻変動を解き明かし、メディア産業の偽らざる「現在地」を正しく把握することです。

過去の残影や情緒に頼ることなく、事実とデータに基づいて自らの立ち位置を考える。その先にこそ、持続可能なメディアの姿と社会からの信頼回復の道が見えてくるはずです。このラボが、業界で働く人たちにとっての「北極星」となることを願っています。

ダイヤモンド・メディアラボ室
室長 山口圭介

ダイヤモンド・メディアラボ室 室長 山口圭介
ダイヤモンド・メディアラボ室
室長 山口圭介

ダイヤモンド・メディア白書 2026

ダイヤモンド メディア白書 2026

ダイヤモンド・メディアラボ室では、2025年10月から12月にかけて、全国のメディア企業700社以上を対象に調査を実施しました。生成AIに関する調査では104社、経営に関する調査では82社(有効回答73社、うち社長名による回答33社)から回答を得ています。
本白書では、「生成AI」「経営」「信頼性」の3つの軸から、メディア企業の現在地と今後の方向性を多角的に分析しています。調査結果を基に、事業環境の変化や収益構造、人材の課題などを整理し、メディア産業が直面する構造的な変化と今後の課題を明らかにしました。

オーバービュー

メディア企業の生成AIの活用実態と課題、経営者が捉えるメディア産業の現在地と未来像、そして利用者の信頼とメディア利用の変化——白書の第1章、第2章、第3章それぞれの要点を整理し、本白書の全体構造と主要な論点を短時間で把握できるオーバービューです。

サマリー

共同研究者・山口真一教授のインサイト

山口真一教授

本白書の共同研究者である国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一教授は、本調査を通じて、生成AI時代における情報の信頼基盤の変化と、メディアが直面する構造的課題を明らかにした。フェイク情報が常態化する「withフェイク2.0時代」において、「技術・経営・信頼」は相互に影響し合っている。これらの知見を基にした詳細なインサイトを、本白書の分析と併せて解説している。

研究員