ブックタイトル月刊総務2015年4月号特集_試し読み

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月刊総務2015年4月号特集_試し読み

23 2015.4風土革新の重要性と人「財」育成「キャンパスノート」をはじめ誰もが一度は手に取ったことがあるロングセラー製品を生み出してきたコクヨ。二〇〇二年から全社的な構造改革プランを進め、二〇〇四年には分社・持ち株会社制へ移行、創業一〇〇周年を迎えた二〇〇五年にはコーポレートロゴを刷新するとともに、再び創業の原点に立ち戻り、コクヨグループとして再スタートを切った。コクヨS&T株式会社は、この一環として、「コクヨ」ブランドの顔ともいえる紙製品・文房具の製造・仕入れ・販売事業を継承して誕生した。森川卓也社長の肝いりで、HR開発室(現HR開発部)が新設されたのは二〇〇五年。長年、コクヨの営業部門の第一線でルートセールスや新規チャネル開拓にいそしみ、五〇歳で自ら希望してHR開発室に異動した武内秀尚さんは、当時を振り返る。「コクヨグループでは全社員が、『商品を通じて世の中の役に立つ』という企業理念を徹底的に教え込まれています。また、一九五四年の創業五〇周年を機に明文化された、創業者である黒田善太郎翁の『経営の信條』は、仕事に対する心構え、仕事に取り組む上での基本的な考え方として現在も大切に語り継がれ、受け継がれています。この『信條』の中では、与えられた仕事は『天職』であり、自らの全力を尽くして全うせねばならぬとあります。誠心誠意実行することが世の中の役に立つことにつながるという考え方です。こうした背景から、当社グループにはコツコツと仕事をするタイプが多く、生真面目な社風といえるかもしれません。また、分社化当初のコクヨS&Tは、組織はコンパクトになったものの、従来のものの考え方や前例にとらわれてしまいがちな面が残っており、なかなか革新スピードが上がりませんでした。二〇〇五年にコクヨS&T社長に就任した森川は、古い組織風土を変えるためには、戦略や組織などのハード面だけでなく、価値観の共有や自律的な人財育成といったソフト面の変革こそが重要であるとの視座に立ち、二つの経営方針を宣言しました」同社の経営方針は「人にとっての経営」と「チャンス経営」である。「人にとっての経営」とは、社員を会社経営の手段ではなく目的として捉え、社員のやりがいを育み追求し続ける会社を目指したものであり、もう一つの「チャンス経営」とは、変化やリスクをチャンスと捉え、それらに柔軟に対応していく〝スピーディー&タフ?な経営スタイルであるという。「社長も私のようなスタッフもたまたま〝役割?として担っているだけであり、〝全員が主役?となる経営を目指すという方針が打ち出されました。そのためには、社員一人ひとりが指示待ちや上意下達といった他責状態を排除し、自律・自立していくことが求められます。そこで、当社の人財開発の要諦を『自律』とし、〝大切にしたいことを共有し、自らの意思で自ら考え自ら実行すること?と定義しました。ピカピカの個人の集まり、全員が主役であることを目指し、HR開発部は社員の自律的成長を支援しています。また、『チャンス経営』では、変化やリスクを〝それはちょうどいい?と表現することで、新しい発想や次の一特集ミドル層のキャリア開発企業事例サントリーホールディングス株式会社企業事例コクヨS&T株式会社キャリアを軸とした人財育成キーワードは「自律」二〇一五年一〇月に創業一一〇周年を迎えるコクヨグループ。その中核であるコクヨS&T株式会社は、目まぐるしく変わる事業環境に対応し、柔軟で強い組織を作るため、人財育成を経営の重要課題として捉え、「キャリアデザインを風土にする」取り組みを推進している。武内秀尚さんHR開発部 課長