ブックタイトル月刊総務2015年10月号特集_試し読み
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月刊総務2015年10月号特集_試し読み
17 2015.10 さらに渋澤さんは、「失われた二〇年」とは端的にいって多くの企業が収益を上げられなかった期間であり、さまざまなステークホルダーが存在する中で、株主に対する優先順位が低かったことが日本の経済成長に歯止めをかけてきた一因であると指摘する。「これまでの資金調達は銀行依存であった分、それは『貸す』、すなわち債務という心理傾向です。債権者は冒険をする必要はなく、一定の金利を支払ってもらい最終的に元本回収ができればいいわけです。一方、出資の心理傾向はエクイティ(Equity: 株主資本)の増加であり株主の権利を守ること。同じお金であってもだいぶ違います。仮に会社を清算する場合、金融機関や取引先、従業員に対して手当てをし、残存の資金を株主へ還元することになり、実は株主は後回しになっている。だから、権利を主張しなければならないということです。そこで、伊藤レポートではROEのEに対する意識を高めていきましょうと提言しているわけですが、大手企業のひとかどの経営者であっても、ROEというと誰のために高めるのかよくわからないという理由で抵抗感を示す人も少なくありません。抵抗感があるのは、おそらく株主の存在が見えていないからだと思います。あるいは見えていたとしても、それは短期売買の投資家であったり、持ち合いの投資家であったりして、第三者として長期的に資本を供給しようと考えている投資家の存在ではなかったのかもしれません。そういう意味でマインドセットがないのだろうと感じています」こうした背景から、制度的に正しく定めていこうとしたものがスチュワードシップ・コードであり、コーポレートガバナンス・コードなのだ、と渋澤さん。企業と投資家が価値創造のパートナーとして対話(エンゲージメント)するための仕組みであり、「価値を創る」ことの意義を理解してもらうことが真の目的である、と強調する。「価値創造できる企業が日本の中で増えれば、日本全体の価値が上がり、やがてそれは下請け企業にも波及していきます。いわば、経済成長戦略のど真ん中の一つなのです。安倍晋三内閣の『三本の矢』について三本目が見えないという人もいますが、伊藤レポートを含めてこれらはまさしく成長戦略です。今は政策が走り出したばかりなので効果を判断するためにはまだ時間が必要ですが、きっかけとしては正しコードとコーポレートガバナンス・コードが生まれた、とその流れを説明する。いのではないかと捉えています」コーポレートガバナンス・コードもスチュワードシップ・コードと同様に、法令とは異なり法的拘束力を有するもコー特集ポレートガバナンス・コードの本質と在り方株主資本への意識を高め経済成長戦略を加速させる3会社法改正コーポレートガバナンス・コード「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクト(伊藤レポート)経営者・投資家フォーラム持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進研究会コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会(社外役員等に関するガイドライン等)証券取引所、セルサイドアナリスト等取締役会運用機関(アセット・マネージャー)年金基金等(アセット・オーナー)市場関係者機関投資家従業員受益者企業経営者等個人投資家スチュワードシップ・コードJPX日経インデックス400の創設GPIF 改革年金制度・運用の検討等NISA、確定拠出年金インベストメント・チェーン(※)の最適化に向けた関連施策出所:経済産業省「第1 回経営者・投資家フォーラム」議論のための基礎資料※インベストメント・チェーン=資金の拠出者から、資金を最終的に事業活動に使う企業に至るまでの経路および各機能のつながり参考