#09
「マンモス展」など期間限定の展示や、宇宙に輝く地球をリアルにあらわす「ジオ・コスモス」など常設展が楽しめる日本科学未来館(館長は、宇宙飛行士の毛利衛さん!)。そんな最新テクノロジーや地球環境、宇宙、生命の不思議などについて、第一線の研究者・技術者とともに紹介する、さまざまな展示企画を年間何本も手掛けている内田まほろさんも、専門家の方たちと議論したりご自身の考えをまとめるプロセスで、濱口メソッドを活かしているそうです。
内田 まほろさん
日本科学未来館キュレーター(展示企画開発課課長)
濱口さんのご実家と、私の祖父母宅が近くだったのがきっかけで、少年時代のことをときどき聞くことがあります。印象的なのは、数学が得意で、大数(「大学の数学」)という雑誌に解答を投稿するのにハマっていたという話。最近では、仕事でご一緒する機会もあるのですが、どうやら、どんな打ち合わせも数学の問題だと思っているんじゃないかと思います(笑)。濱口さんは、クリエイティブな案件も、方程式や図形に当てはめて「解く」。ふわっとした議論が、パターンに当てはまってストンと解ける快感が会議室に広がる。その時の、濱口さん「ね、解けたでしょ!」って顔(笑)。これが本当に面白くって、今日はどうやって解くのかなーと毎回楽しみです。この論文集をみて、問題を楽しく解いて雑誌に投稿していた濱口少年が思い浮かびました。
一言で方程式と言っても、2次方程式はわかっても、3次方程式や微分積分など、世の中にはよく勉強しないと使えない式がたくさんあるのと同じように、この論文集で示された方程式や図形を、だれもが使えるとは思わないです。みんなが同じ問題を解きたいわけでもないし。ですから、全部を理解しようとしないで、一つか二つ、自分のケースに合う式や図形を見つけて、使ってみるといいと思います。
私の仕事は「複雑な先端科学技術を、シンプルかつ美しく伝えること」。展示企画プロジェクトを年間何本も手がけるうえで、いろんな専門性を持つ人たちと同時に議論するときに、3つのキーワードやXYへの落とし込み、それと「Break the Bias」のコンセプトワークは、いつもよりどころになってます。(談)