理科・特別教室棟と150メートルの廊下

 以下の記事は、こちらの施設案内図を参考にしながらお読みいただきたい。

◎赤の広場
 校舎北棟・南棟に挟まれたすり鉢状の中庭。かつては赤土だったことに由来する。方形の窪みの中に盛り上がった演台状の部分があり、代表委員会に立候補した生徒などはここで演説をする。両側の校舎内の教室から身を乗り出した生徒からヤジが飛ぶといった光景がかつては見られたようである。

◎西棟
 音楽室や演習室、クラスを2分割する少人数授業で使用する部屋が並ぶ。地下にはトレーニング室もある。

◎図書館棟
 4階建て。1階には生徒集会所も兼ねた食堂がある。弁当を持参する生徒もいるが、食堂利用者は2・3時限の休みにチケットを早めに押さえに来る。A・B定食は300円ほどで安くておいしいことから人気。出遅れるとラーメンやカレーとなる。2階には分割教室、ゼミ室、面談室などが置かれる。3・4階には吹き抜けとなっている蔵書8万冊の図書館がある。「science」など英文雑誌も置かれ、多読用の英文書籍も。系列大学の図書館(蔵書65万冊)も利用できるなど、読書環境には非常に恵まれている。

◎150メートルの廊下
 図書館棟⇒西棟⇒理科・特別教室棟を貫く直線の廊下は、光速の実験などにも活用されている。壁にはシェイクスピア演劇の写真も貼られていた。これは年に20人、高2・高3生が費用を学校負担(無料)で参加した国外研修の報告である。2020年は残念ながら中止となったが、11月には生徒の企画でオンラインによる交流会が予定されている。

◎理科・特別教室棟
 博物館のようなコンセプトで造られた教室棟。屋上の天体観測室(太陽観測所)では黒点の観測も行っており、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に進むOBが連綿と存在する。その一人、はやぶさ2のプロジェクトリーダーを務める國中均・宇宙科学研究所長の講演も行われた。

 ここは完成からまだ3年と新しく、格段にきれいな教室や文科系の部室が並んでいる。1階には芸術、2階には数学、英語、家庭科の研究室、3階には地学と物理、4階には生物と化学と、理科の研究室と実験室が置かれ、廊下には旧制七年制高校時代からのものだろうか、鉱物・化石標本や年季の入った計測機器などが陳列されている。

 階段脇には毎日12時の温度・湿度・気圧を記録したグラフが貼られている。昔はここに公式の気象観測所あったことから、いまでも百葉箱で観測を続けている。

 天井からは長さ15メートルのフーコーの振り子が揺れている。これは地球が自転していることを示すものであり、7~8分間観察することで緯度が計算できるのだという。同様のもの上野の国立科学博物館にもあるが、本物を大切にする武蔵の教育を象徴するものの一つと言える。