中高と大学のキャンパスを分けるすすぎ川

学園キャンパスを分けるすすぎ川

 ここからは屋外へ。武蔵学園は7万平方メートルという広大な敷地を持つが、そのうち大学が3万で中高が4万の割合なのだという。その多くを占めるのが、陸上競技やサッカーで使われるグラウンドと野球場である。

 校舎とグラウンドは銀杏並木で区切られ、ぐるりと散歩道も設けられている。運動部の生徒はここでランニングも行える。サッカー部は強豪で、指導する先生もJリーグのS級ライセンス保持者と元J3の選手という豪華な布陣。この日は杉並にある中高一貫校と練習試合を行っていた。

 その先には、硬式テニスコート、屋外プール、中高用の体育館があり、運動部の部室も置かれている。体育館内には卓球場、剣道、そして合気道の施設もある。水泳部は水球が中心で、ここもまた、バスケットボール部と並ぶ強豪である。大学の屋内プールも利用可能だ。

 この日は外から眺めるだけだったが、入学式や卒業式にも使用される1928(昭和3)年建築の大講堂がある。この後に大隈記念講堂や日比谷公会堂も手掛けた佐藤功一の設計で、練馬区の登録文化財となっている。

 中高と大学の校地を区切るように流れる濯(すすぎ)川は、もともとは千川上水の支流の農業用水だったが、千川上水が暗渠化したことで水流が途切れてしまった。そこで現在は、人工ポンプで流れを維持している。

 水源部分には漢籍から名を取った八角井戸が底に見える。この流れに沿って、200種類もの植物が植えられ、年々その数が増えているのだという。新入生がここで遊んでいて川に落ちることはよくあるようだが、橋のたもとで闇に光る眼を見たという。夜行性の狸がどうやら住みついているらしい。

 自然に恵まれた武蔵の様子は、杉山剛士校長のブログや、それをまとめた冊子「校長散歩 学びの水脈と対話の杜」に詳しい。ぜひご覧いただきたい。