リベラルアーツを根底に深く幅広い学びを

 次いで、学習について語るのは教務部長の冠木英克先生。フェリスは、「深い学び、幅広い学び」を標榜している。新入生には、「受験勉強から脱して、知的好奇心を高めてほしい」と檄を飛ばす。その基本は、広い視野と多角的な考察力を身に付けて、多様化する社会に適応するための、リベラルアーツ(liberal arts)、教養主義に置かれている。

 設立当初は、宣教師によりすべての授業は英語で行われていたものの、1884(明治17)頃にはだんだんと日本語でも授業が行われるようになっていった。確かにこの頃のカリキュラムを見ると、すでに教養主義的な科目が並んでいる。

 科目別では英語と理科を取り上げている。実際、理系に進む本校の生徒は多い。語るのは募集広報委員の松田さとみ先生。

 本校の学習法で際立つのはオーラル重視の英語教育を中1段階から徹底することだろう。実技科目という英語の本質をとらえ、まさにピアノを習うように身に付けさせようとする。文法や語彙の学習も音声でサポート、そのために教員が休校中にはオリジナルの画像配信を行ったり、オンライン授業でも発音講座を取り入れたりした。教員が作成した教材の数々は特筆すべきものかもしれない。

 自律的に学ぶには、その方法や習慣を身に付ける必要がある。そこで、勉強法や家庭学習の仕方などのアドバイスも。ノートの取り方、単語帳の作り方と活用法、問題集の取り組み方といったものであり、単語テストは宿題として出す。

 理科は実験と観察を重視、実体験を通じて楽しみながら学ぶことに留意している。物理・化学・生物・地学の4分野を幅広く学び、宇宙や自然の法則を広い視野で捉えていく。

 中1の授業では、答えが一つではない問いをする。例えば、「生物とは何か」。生物の定義に関する理解を深める一方で、生物とウイルスとの比較、双方向でのやり取りなども。先にあるものを見つめる広い視点、横断的に物事を考える力を培いながら、主体的・創造的に問題を解決する力を社会や他者に生かす。そうして豊かな世界に踏み出し、さまざまな束縛から自由になる。