目黒区駒場は、東京大学駒場キャンパスをはじめ、有名中高が揃っている文教地区だ

教科学習は「伝える」ことに注力

 説明会の半分以上を5教科の学びの説明に充てていた。概略を以下に示そう。

 まずは国語から。国語力は4つの技能(読み・書き・聞き・話す)の真ん中に「伝える」が位置するとしているように、表現することを大切にしながら、コミュニケーションスキルを磨くことに注力している。現代文は時代の風を捉え、古典は本質的に迫る。例えば高1の古典の授業では、『鬼滅の刃』を取り上げるなど、生徒たちにとって身近な話題を提示し、教材への興味を沸かせるようにしている。

 現代文では、文庫や新書の一冊全部を扱い、グループ発表を行い、評価する。中1では、「ことば食堂」(文化庁「国語に関する世論調査」)の「小春日和」の意味を問う問題からレポートを作成するという授業を行った。その際にはデータから正確な情報を読み取り、適切な表やグラフを作成することで、相手に伝わる論理的で分かりやすい文章を書くことに主眼が置かれている。

 社会科はかなり実践的である。現実の社会と向き合う姿勢が強く、暗記科目ではない点を強調していた。メディアリテラシーの話では、例として自民党の選挙ポスターを並べて比較した。すると、安倍総裁の顔がだんだん大きくなっていくことに生徒が気付く。その後には模擬政党のポスターを作成し、公約を掲げるといった試みも行った。

 答えのなかなか出ない問題はたくさんある。そうした問題を自分事として受け止め、他者と協力しながら向かい合うための基礎力を、公民や地理、歴史を学ぶことで身に付けてほしいという考えが社会科の根底にあるようだ。

 数学の教育法もユニークだ。思考力と表現力をバランス良く磨いていきながら、高2で数Ⅲまで終える。数学的な課題を論理的に説明するには数Ⅲの知識が不可欠だからだ。そのために、土台作りの中学校の間には、中2はチームティーチング、中3は習熟度別クラスでの分割授業と、少人数できめ細かく対応している。