校門から入ると右手にグラウンドが広がる。強豪のラグビー部などが練習に励んでいる。体格差の大きな部員の姿を目にすると、ここは6年間の中高一貫校なのだと実感できる

校門から入ると、人工芝のグラウンドに面した2号館(2014年完成)がたいへん明るい印象を与える。ラーニングコモンズなども備えた、本郷の顔ともいえる校舎だ。JR山手線・都営三田線「巣鴨」駅から徒歩3分。開成の併願校としても浮上、進学実績も高まっており、学校推薦で東京大学医学部合格者も出ている。説明会では母親単独の参加が目立ち、父親はかなり少ない印象だった。(ダイヤモンド社教育情報)

2022年に創立100周年を迎える本郷

 創立者の松平頼壽(よりなが)伯爵は高松松平家12代当主。初代は徳川家康の孫で光圀の兄である頼重(よりしげ)である。都内の私立校は平均80数年だが、人気上昇中の本郷は、近くにある女子校の十文字と共に2022年に創立100周年を迎える。

 まずは、佐久間昭浩校長のお話から始まった。2019年には台風のコースに入ったため中止したマラソン大会を「今年はぜひやってほしい」という要望が特に高3から来たので、11月20日に学年ごとにスタート時間をずらしたりしながら実施した。

 私学の肝となるのが建学の精神。本郷のそれは、「個性を尊重した教育を通して国家有為の人材を育成する」ことにある。教育目標は少し古めかしいが「強健」「厳正」「勤勉」。創立者の書いたこれを額に入れて各教室に飾ってある。教育の3本柱となる教育方針は、「文武両道」「自主学習」「生活習慣の確立」である。

 生徒同士のタテのつながりを重視している。定期試験前には、中1・2生の数学の合同授業を行っているが、そこでは中2生が中1生に教える。先輩の言うことはすっきりと腑に落ちるし、「すごいですね」といわれた中2生も自分も頑張ることで成長につながる。これは本単検(本郷英単語力検定試験)でも生かされる。中学3年分の英単語を各々独習していくものだが、8級から始まって三段まで認定されるため、生徒同士の競い合いもある。

 混沌とした世の中を力強く生き抜くため必要な力を育くむためにも、学校という空間を生かして、さまざまなことにチャレンジしてほしいという。勉強に軸足を置き、日々の学習、クラブ・委員会活動など経験値は多い方がいい。高校のラグビー部は2年連続で花園に行ったが、2020年は残念ながら東京大会の決勝で敗退した。最近は文化部の活躍も目立つ。囲碁将棋部は東京代表として2021年1月に2年連続で全国大会に出場となった。